旋盤でラジカセ修理?

年始の親戚挨拶まわりで修理依頼受けたラジカセ

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30年ほど前の古い物、ラジオとして愛用していたらしいが、選曲の目盛が動かず音が出なくなったとの事、カセットやCDは使わないらしい。

あまり古い家電は安全面のリスクもあるので修理は勧めないが、使っていたのは老夫婦で、使い慣れや思い出もあるらしく、買い換えたくないらしい、、

直る可能性は低いけど、とりあえず引き取って早速分解。流石にスピーカーのエッジは朽ちて酷いことになっているが、音質とかどうでも良いのでこれはそのまま

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他にカセットのベルトも硬化して切れ落ちているが、使わないらしいので清掃だけにする。

まず選曲目盛の修理から着手、このラジカセの選曲目盛は機械式で、ダイヤルにギアが付いてて相手の棒のギア面を動かす構造、この棒ギアが経年劣化で硬化して割れていた。

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ナイロン系と思うけど材質不明、ボンドじゃ無理っぽいので溶着する方向で考えるが、片面がギアなので厄介、ネジに巻いて溶かそうと思ったが丁度良いピッチがなく
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いろいろ探した結果、どのご家庭にもある旋盤の自動送りシャフトが丁度良いピッチだったので、一旦パークリで脱脂して
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ギア面をシャフトに合わせてタイラップで固定し

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溶着部分も脱脂して、溶着用に適当な柔らかさのタイラップを溶かして付ける作戦

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半田コテをワイヤーブラシで綺麗にしてから溶着

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あとは冷やしてから余分な部分をカッターで削って形を整えて完成

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柔らかさも丁度良いし、そこそこの力で引っ張っても大丈夫なので、まあ少しの間は耐えれそう。あとは元通りに位相合わせて組み立て、選曲目盛は直った。

次に音が出ない原因調査、電源入るしFMのチューニングインジケーターLEDも点灯する。電源入れた瞬間と切った瞬間だけ少し音が出る。基板は外観上特に半田割れや電解コンデンサーの膨れ、あからさまなな液漏れなど目立つ異常は無かった。とりあえず唯一1番大きな電解コンデンサーの足元がちょっと液漏れっぽかったので、交換してみたが直らず

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その後いろいろ調べたところ、セレクターまでは音声信号が来ているけど、なぜかカセット記録に渡すあたりの信号が強制ミュートされており原因が判らない。。多分記録音量調節回路が壊れていると思うのだが、そもそもカセットはバンドも切れてるし直す必要も無いので、セレクターからプリアンプに直接バイパスするよう改造してラジオだけは聴けるようになった。

あの朽ちたエッジのスピーカーの割に音はまともなので驚いたw

あとは電源の一次側などを清掃し、しばらく音鳴らして各部異常発熱がない事を確認。特に問題ないので組み上げて終了。

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無事持ち主の元に帰りました。