古いオープンリールデッキ修理

先日実家の片付けに行った際、もう何年も置き去りにしていたSONYのオープンリールデッキ TC-R6 を持ち帰ってきた。

これ1977年製?って44年前の物か…

自分が中古で入手したのが30年ほど前だったか?もう忘れました。。今回久々に電源入れて動作確認すると、再生してもピンチローラーが上がらない。とりあえずメカはグリス固着してるのでオーバーホール必要です。

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一通り動作確認した結果、リールのブレーキ摩耗劣化でテープがブチ切れるし、RECボタンはランプ球切れているのか点灯しないし、全ボリュームのガリに表面のサビや内部の埃など、、放置期間が長い事もあり随分やれてます。

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まあ幸いキャプスタンプベルトは問題無いし、折角の機会なので気になる点は直す事にします。

まずメカから

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ピンチローラーが上がらないのは

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メカのグリスが固着しているのが原因、分解してパーツクリーナで全て洗浄です。

特にピンチローラーのアーム根本が最もグリスで重かった。

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ベースも動きが鈍いので

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外してパークリで洗浄
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一通り洗浄後、可動部や金属摩擦部分は全てグリスアップします。今回使うグリスはお気に入りのスーパールブ。こいつはリチュームグリスのように固着しないし、回路の接点やボリューム類に悪影響を及ぼすシロキサンガスも出ないし、樹脂やゴムへの攻撃性も無いので安心して使えます。
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ソレノイド以外のメカ可動部全てをグリスアップして
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これで元気よくスムーズにピンチが上がるようになりました。

次にリールのブレーキ交換
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ブレーキかけたらガズガズ音がして粉が落ちる始末…消滅というより経年劣化で、ほぼ擦り切れ状態。

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とりあえずホムセンで適当なシール付き硬質フエルトを買って
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オリジナルの非接触部分の厚みは1mm未満なのね、、買ってきたフエルトは太すぎたな。。まあ後で削れば良いので気にしません。
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まず劣化したフエルトを剥がします。

ボンドはパークリでは太刀打ちできないのでキャブクリの出番。

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で、あっという間にピッカピカ

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あとは新しいフエルトを貼って余分な部分はカット
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このままではフエルトが太すぎて組み込めないので、サンドペーパーで荒削りしておおよそ1mm位まで削り
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最後は毛玉取りで表面を整えて出来上がり
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ってな具合で両方のリールブレーキを交換し、スプリング位置調整して無事にブレーキは静かに効く様になりました。

次に内部の清掃

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中は長年の埃が積もって汚く

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そのうち埃と湿気で異常な導通起こして壊れそう
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とりあえず柔らかいブラシ使いながらエア吹いて埃は飛ばし、ついでに内部のボリューム全てに接点復活剤を吹き付けて垂れないように拭きあげておきます。

と、ここで気になったのはサーボ基盤のパワートランジスタの樹脂ネジ

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左側が折れて無くなってました。

なので在庫の樹脂ネジに交換しておきます。

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えーと、次にRECランプ切れの修理です。

RECランプは12Vの麦球みたいなものがついています。テスターで調べたらやはり切れていました。

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そこで、どのご家庭にもある車の予備ランプケースをほじくって、T4.2のメーター球があったので

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分解してリードに配線追加して

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取り付け完了。

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これでRECランプはOKです。

ツマミ類もラストリムーバーで表面のサビを落として磨き、外観はそこそこ綺麗になりました。

ボリューム類は接点復活剤のおかげで何回か回すとガリも無くなり、動作も記録/再生FF/REW一通り正常になりましたが、どうも再生レベルボリュームのLチャンネルだけがおかしい…MIN絞り切っても音が出る。

という訳で調べてみると

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Lチャンネルだけ絞り切っても抵抗がある。

どうやらボリュームそのものが壊れてるっぽい…とりあえず接点確認のためバラしてみると

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最悪です。下の赤丸の部分のパターン部にクラック入ってて導通不良でした。

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このボリュームは10kΩ Bカーブでセンタークリック付きの24mm 2軸品、alps製らしいマークがあるけど…ネット調べるも同じ物は売っていないし、互換品も無さげ…

なんとか現物を直すべく色々試行錯誤した結果、

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バネ性のあるリード線でクラック部を跨いで抵抗部分に接触させ、無事に導通させる事が出来ました。

信頼性は落ちますが、無い物は仕方ないしこれで様子見る事にします。

という訳で一通り直って機嫌良く動作する様になり、最後に走行調整して

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出来上がり♪

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うーん、やっぱこの音の質感って良いですね。

ノイズリダクションも無い時代のアナログ磁気テープの音って、たまに効くとなんだか落ち着きます。

そろそろ電解コンデンサーがパンクしそうな気もするけど、今でも動くってのは凄いですね。さすがSONYさん。

 

ただ、やっぱりちょっと邪魔かも…